仔猫が家にやってきた♪
チョビたん騒動記 2


(Meeさんのピンチ・・・)







MeeおじちゃんもHuuおねぇちゃんも、一緒に遊んでくれないのなら、
一人遊びは当然シッポだよ、ねぇ♪






朝のひととき、体調が良くなくても守るべきものは守る、という風にも見えるMeeさん。
側にはチョビ、その向こうにはHuuが眠っている。







あっけらかんとした寝顔のチョビと、いま一つ納得の行かないHuu
それでもチョビが寝ている時は、そっと近づく♪






動くチョビと動かないHuu
戸惑うことばかりのHuuだが、実は優しさいっぱいのHuuでもある。






Huu談・・・「あたしだって文句の一つも言いたいわよ!
                  言いたくても言えないから、そういう時はこれしかないんだわ」

厳しい目をしつつも、親愛の情を表しといて、最後は引っかきガブ!









それ以上近づいたら、あんたにもガブガブするからね!



と言いつつも、あの手この手でチョビを誘うHuuちゃんでありました♪












モテモテのMeeさんは、ちょびっと疲れ気味。









   Meeさんのピンチ

チョビを迎える前日、18才のMeeさんは健康診断を受けた。
採尿と採血の結果、腎臓と肝臓の機能低下はあるものの18才にしては元気で投薬の必要なし、里親になることに決まった仔猫も、自信を持って迎えて良いということだった。

翌日にはチョビがやってきて、ネコ同士の挨拶も何となく済み、夜になった。
さすがに最初の2・3日は一緒の布団に寝させることはできない。
Mee&Huuと私が寝室に、隣室のソファに夫とチョビが休んだ。そして翌朝のことである。

 床を引っかくような変な音がする。
元気といっても18才のMeeさん、軽快に歩くことはできず、一歩一歩をゆっくりと踏みしめて歩く、足の爪の一本はケンカの傷が元でねじれて伸び、それが床をこすってキシッと音を立てる。そのキシッが妙に長い。よろよろと足を引きずるように歩いて、その足元にポタポタと赤いものが零れている。血尿だ。一瞬で目が覚めて、そして背中が凍りついた。Meeを抱き上げて夫の元に行く。
「Meeが大変! ・・・ こんなの、連れて来なければ良かった・・・」声が震える。
「こんなの」とはチョビのことである。「仔猫」を連れてきたからストレスが大きくて、膀胱炎になった。夕べは何ともなく排尿できていたのに。

 もしも、仔猫の里親になるのに、俗に言う「お試し期間」というのがあるとしたら、迷わずにチョビを返していたことだろう。里親が決まり掛けていて結局白紙に戻ることがしばしばあるという、せっかく縁ができた仔猫を返してしまう気持ちが、今の私にはよく分かった。しかし、今回の里親募集のルールでは貰ったが最後、返すことはできず、その時から里親としての責任が生まれる。なんとかしなければならない・・・。

 とりあえずMeeを抱いて布団に寝かせ、状態を見る。鮮血だったのが微妙に薄くなりかけている。Meeを撫ぜながら懸命に考える。もしも採尿の時に傷ができていて、それが出血の原因だったら、出血が止まればMeeも落ち着くかもしれない。しみ出て来る血尿を拭き取りながらMeeをなで続けた。
「大丈夫だから、すぐに良くなるから、心配ないよ・・・」
Meeに声をかけながら自分にも言い聞かせていた。これ以上ストレスを与えてはいけない。病院へはMeeを連れて行かず、状況を説明をして止血剤と抗生剤の投薬を受け、その日のうちに症状は治まった。

 そのまま全てが良くなっていけばいいが、こんどは投薬3日後ぐらいから3夜連続で吐き戻し、水を飲んでも30分以内には吐き戻す。夜中から始まって朝まで続き、昼はぐったりと寝ている。これも仔猫が来たことのストレスだろうか。MeeにもHuuにも善かれと思って連れてきたことが全て裏目に出ていた。
 
 吐き戻しの2夜目だったろうか、えぐっえぐっと、喉から音を出しはじめたMeeをさっと支えて体勢を整える。少しの間眠って、また同じことの繰り返しだ。そのMeeに向かって何度となくチョビが突進する、つい強い力でチョビを払いのけている自分がいた。そんな時である、ツー・カタッ・・ツー・カタッ・・と、聞き慣れない音が聞こえる。
 音の方向を見ると、Huuが猫じゃらしをくわえて床を歩いて来ている。遊んでほしい時、ピーピー鳴きながらオモチャをくわえて来ることは良くあったが、その時はなにも言わずに黄色い猫じゃらしを運び、ベッドの脇にポトッと落としてこっちを見た。そして次の瞬間、もう一度くわえ直してベッドに飛び乗り、今度はチョビの前にポトリと落とす。チョビは喜んで一人遊びを始めた。猫じゃらしをくわえて夜中の一人遊びはしばらく続き、それからチョビは大人しく眠った。

 ハッとした。Huuは私に教えてくれたのだ。
Huu・・・ 「ちょっと、ちょっと、ムゥ母ちゃん、なにやってんのよ。チョビは赤ちゃんなのよ、Meeおじちゃんに甘えたくて、側に行くだけじゃん。少しは落ち着いてよね!」
ムゥ・・・ 「Huuちゃん、ありがとね。わたし、ネコのお母ちゃん失格だわァ。でもさー、そんだけ分かってるならチョビと遊んであげてちょうだいな」
Huu・・・ 「いや〜よ、あたしは仔猫がきらいなの!」

 Huuに助けて貰った。変かもしれないが、本当にそういうふうに感じた。その日を堺にして、少しは落ち着いて三匹のネコの状態を見ることができるようになったのである。あの夜、猫じゃらしを持ってきて私を見つめたHuuのことをこの先もずっと忘れることは無いだろう。
 その後、Meeの吐き戻しは無くなり、食欲も以前と同じように出てきたが、排便の息みで血尿の状態になることを繰り返し、再度投薬、完全に良くなることはないが、今は落ち着いた毎日を過ごしている。

 最初の血液検査では、18才の年相応の結果と思っていたが、ネットの老ネコ介護の先輩に細かい数値を見て貰った所、造血の機能が落ちていることが分かった。確かに高齢のネコだが、まだまだ元気に過ごしてほしい。有難いことに、Meeの状態に対処できるよう、老ネコ介護の仲間がサポートしてくれることになった。腎臓の療法食の他に、造血作用を高める鉄剤や通じをよくする為のサプリメントを送って貰い、食べさせるようになってからは状態も良く、足どりもしっかりしてきたような気がする。

 少し体重の増えたチョビが突進して上に乗ると、もろくも体勢を崩してへたり込んでしまうが、Meeは元気である。Meeとチョビ、昼の間は二階と階下に分けて住み、Huuは行来自由。夜は全員一緒で朝まで過ごすという状態になって落ち着いている。
 この先どういう風に展開していくのか分からない、三匹のネコが一緒に丸くなって寝ている、いわゆるネコ団子という理想の姿になるにはほど遠い気がする。Huuは仔猫のチョビを怖がり、チョビはというと一ヶ月を過ぎた下痢がようやく治まりつつあるところ。まだまだ当分はチョビたん騒動が続きそうである。
 





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