帆掛け舟から〜







帆掛け舟に乗って


幼い頃、船はまだ帆掛け舟であった。
櫓で漕ぎながらやや沖にでて、
それから帆を張っていたような気もするが
はっきりとは思い出せない。

この小さな船で対岸に行き
風呂の焚きつけ等に使う流木を拾い、船一杯に積んで帰る。
漁をするのとは違う作業で、楽しかったのを覚えている







母を待って通せん坊

風もなく穏やかな日は、母が仕事をしていても
小さな子供達にとっては、その全部が遊びの対象になる。

船から降りるには、不安定な板の上を歩かなければならないのだが、
揺れて恐がる母が面白くて、やっぱりピョンッと飛び跳ねる。







スズキを狙って糸を下ろす父

帆掛け舟から機械船になり、
船から糸を下ろして引きながら釣りをする
引き釣りの楽しみが出来た。

右−魚を獲るのが何より好きだった父の楽しそうな顔
左−慣れない舵を持たされて真剣そのものの母の顔

(父の後方に見えるのは昔の十三橋。
機械船の舵を持つ母の後方には帆掛け舟が見える)



水戸口(みとぐち)

母が舵を握って、目指しているのは十三湖から海へ向かう水戸口らしい。
父が嬉しそうに引き釣りをしているのが、その水戸口である。
潟湖の十三湖は岩木川の河口にあり、更に日本海へ繋がっている。
水戸口とは湖と海の間の部分で、正式な呼び方ではないのかもしれないが
みんながその場所を水戸口と呼んでいた。

海に出てしまえば引き釣りの獲物はヒラメやフクラゲ(いなだ)になるが
その手前の水戸口ではスズキがよくとれていた。



引き釣り・・・簡単に言うとトローリング。

餌は疑似餌で、最初のころは毛針りを良く使っていた。
その後、プラスチック製の物や、ある時は青大将(蛇)の脱け殻などを使っていた事もある。
疑似餌の手前にはヘラを付けて、上手いこと海中に沈むようにしていた。

よく父と一緒に釣りに出かけたが、沢山ある中で一番良いヘラと疑似餌を使わせてくれて、
大きなヒラメを釣った事が懐かしく思い出される。





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