冬 支 度     薪 積 み







夏の終わりぐらいから冬に備えて蒔き作りが始まる
薪にする丸太(多くは間伐材)を買って積み上げ、時期を見て職人さんに来て貰い、
ちょうど良い長さに切っていく。

ギュイーン ギュイーン という鋭い音と、下に溜まっていく鋸屑が記憶に残っている。









斧をふるって薪を作るのは父の役割。
遊びに来た近所の子供達の前で、茶目っ気を出して笑わせる父。








楽しい時間のあとには薪運びの手伝いが待っている。
家の南側の壁に薪を積み上げる為に、何度も薪の山を往復する。

薪割りの土台にした太い丸太をひっくり返すと、
蟻の巣が出来ていて驚いたことがある。
長いこと同じ場所に置いていたので蟻が自分の場所としたのだろう。
いきなり日に当てられ、列を作りながらも大急ぎで卵を運び出していた様子が面白かった。








子供達が薪を運び、母親がきれいに積んでいく
どこの家でも同じような作業、同じような光景が見られた。
小さな子供でも、自分で出来る手伝いをするのは当たり前だった時代。

家の中に薪を入れる箱が用意されていて、
なくなると外から運び入れるのだが、雪の中から掘り出すようにして持ってきた薪は
しばらくの間は暖かい部屋に入れても凍っていたような記憶がある。









積み上げられた薪。秋の日の中で遊んでいる姉妹。
着ている千鳥格子のような服は、おそろいのネルで出来た中綿入り。
ポカポカと暖かく寒い時期にはもってこいだった。

チャッケが小さな手にギュッと握りしめて、
お姉ちゃんに、ぴょんと付き出しているのは実は網にかかった鴨。










大好物を手に持って嬉しそうな顔。
父の仕掛けた刺し網には、秋から冬の間に数回、嬉しいごちそうが掛かっている。

魚を獲る為の網になぜか鴨が引っかかる。
羽を抜いて残った毛根を焼くまでは父の仕事で、その後は母が料理をしてくれる。

鴨料理といっても濃い味噌煮にした物にネギを入れる程度だが、
寒い時期には御飯に鴨汁をかけただけで何杯でもお代わりが出来た。
他にはビーフシチューの素を使った鴨のシチューが美味しかったのを覚えている。

両親は戦時中、中国大陸にいた時期があり、
母は、その当時住んでいた地区の婦人達から、鳥のさばき方を教わったのだそうだ。
一般的な鶏のさばき方とは少し異なるが、合理的で素早くさばける。
私自身も母から教わり、今でもたまーに頂き物の鳥をさばく事がある。









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