入学式の頃




入学祝品倒着

街の伯母さんから入学祝品が到着した。
帽子を占領して下舐めずりしている末っ子。むくれている妹。ほっとしている姉娘。
とまどっている お母さん。


(父のメモより)




フッフッフー
あたしは末っ子。

お姉ちゃんのいない時ぐらい
ランドセルやズック入れを借りたって良いわよね。

ズボン下が見えていても
下駄をはいていても、恥ずかしくなんかないわ

早くあたしの番が来ないかなあ








待ちに待った本当の入学式
白いリボンのついた緑色のワンピースは、お下がりのお下がり

姉妹三人とも同じ服を着ての入学式。
やっと末っ子の番がやってきて晴々とした笑顔




行ってきまーす
いってらっしゃーい

ただいまあ・・・お帰りなさい

いつでも見送ってくれた母

学校から帰って
母の姿を見つけると

どんな時でも、安心できる。




入学式が大好きなのは、きれいな服を着られるから。
クリーニング屋さんなど無い時代に、丁寧に洗ってアイロンをかけ
虫食い一つ作らずに、姉妹三人共、入学式を迎える度に同じワンピースを着る事ができた。

黒いビロードのワンピース。白い大きなリボンがついた緑色のワンピース。
お下がりの、その又お下がりでも大好きだった。

懐かしい、特別な日の、特別な洋服。




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