シモコシで作る「鮭のねりこみ」と「シオカラ」


シモコシ。津軽弁で言うところの「キダケ」で、キンダケを強く出さずに「キダケ」分かるかなぁ♪
幼い頃から松林にキノコ採りに行くというと殆どがこのキダケで、
季節的に最初はアミダケやハツタケ、それから段々とシメジ類になってシモコシ(キダケ)が出てくる。

霜が降りてからも出てくるキノコだからシモコシという説もあるらしいがはっきりとは分からない。
浜の松林に多いというのは実際にそういうところで採り続けたので理解できる。
ネット検索でもいろいろと調べられるが、本の中で丁寧に紹介してあり好感が持てたのは
白戸三平氏の「フィールド・ノート 土の味 (S62年小学館発行)」

松林の松葉がほんの少し盛り上がっていて、よく見ると濃いめの黄色味がかったキノコの頭が見える。
半分以上砂に埋まっていることもあり、なかなか見つけにくく、
ずんぐりむっくりの丸ころんとした形のものも多い。
癖のない味と良いダシが出ること、歯応えがあってどんな料理にもあうキノコである。

シモコシについて数年前に、おもしろい話を聞いた。
マイタケの養殖が可能になって誰でも買えるようになってから、
秋田県の宴会料理の鍋物にシモコシが使われるようになったのだという。
自然のものでなければ手に入らないので、宴会料理の中でもシモコシが使われていれば高級とされるとか。

今はまた変化があるのだろうが、幼い頃から食べ続けているシモコシが、
そういう風に評価されるのは嬉しいことである。






上 シモコシ (別名「浜の金茸」と言われることもある)

下 左がシモコシと鮭のあらなどを使った「鮭のねりこみ」で、
右がシモコシと菊の花などでこしらえた「しおから」


     





シモコシの入った「鮭のねりこみ」


一般的に津軽の「ねりこみ」というとサツマイモが主体の甘煮が多いようだが、
鮭のあらとシモコシを使った「鮭のねりこみ」は実家の母親直伝の料理♪
他の具材も、ちょうど季節の物ばかりで、旬の味と言えるだろう。

味は醤油とザラメでつける甘辛い煮物。
さらに片栗粉でとろみをつけ、熱いうちにふーふー言いながら食べる。
甘いものは苦手だけれど、何故かこれはご飯のおかずにもなって、
幼い頃から食べ続けた母親の味である。

2010年11月の始め頃
実家の姉がシモコシを届けてくれた。

サモダシ(ナラタケ)に続いてのプレゼントで、
里山歩きの好きな姉が有難い(^^)v

砂や松葉を取り除いて洗える状態にする。
5分程ぬるい塩水に浸け
それから丁寧に汚れを落とす。

かさは、しっとりツルツルで、洗いやすいが、
かさの裏のひだに砂が入っていると
きれいに洗うのはけっこう大変な作業になる。
形の良いものを選んで「ねりこみ」に使う

他にも豚汁や、炊き込みご飯、鍋物
白身魚と合わせたホイル蒸し、
様々な料理に利用できる。

多く採れた時は酒を振って蒸し、
滲み出たキノコの汁と一緒に冷凍すると
いつでも美味しく食べられる。



鮭は三枚下ろしにした後の中落ちや
ヒレの部分、中でも欠かせないのは頭で、
ぶつ切りた氷頭の部分は特に美味しい
・・・けれど、

急なことで一本の生鮭を手に入れられず、
中途半端な切り身を購入。
それでもヒレの部分がついていて、ラッキー♪

鮭とシモコシの組み合わせは
生まれ育った十三湖の地区の家々で
当たり前に食べられているかというとそうでもない

なにしろ村落からポツンと離れた家で育って
自分にとっては普通でも
そうでない事が多いと、後になって気がついた^^

サツマイモ

サツマイモは大きめの賽の目切り

今回は偶然見かけた黄金千貫を使用。
赤い皮でないと気分が出ない感じもするが
味も食感もよく美味しかった。

黄金千貫は焼き芋にして食べるのが好き♪
ついでに芋焼酎も大好き^^

人参

人参はサツマイモより小さい賽の目に切る

材料はこのほかにコンニャクも入るが今回は無し。
無い物は無いでしょうがないけれど、
それでもシモコシがなければ
鮭のねりこみを作ることはない。

サツマイモも人参も
小さい頃に裏の畑で作っていた作物

生の人参は好きで、煮た人参は苦手、
だけれど、ねりこみやカレーに入った人参は
小さく切っていたからか食べられた。
もしかしたら偏食を直す作戦だったのかもね^^

サツマイモと人参は水から入れて
煮立って火が通ったら湯通しした鮭を入れる。
アクをすくって、
全体に火が通ったら味付け。

けっこう多めのザラメ(何故か必ずザラメ)を入れ、
それから醤油を入れる。
ザラメも醤油も好みの量としか言いようがなくて、
かなり甘いことは確か(^^ゞ

今回は量も少なく直径19pの深鍋に作って
それでも、おたまに3杯くらいのザラメを入れた

最後に水で溶いた片栗粉を回し入れ
とろみがついたら出来上がり(^^)





シモコシ(キダケ)の「しおから」


作り方は先に紹介したサモダシ(ナラタケ)の「しおから」と殆ど同じ。
ただし今回は久しぶりにシモコシ(キダケ)を使ったので、
気合を入れてスルメと昆布を細かく刻んだ(^^ゞ
量が少ないので調理バサミでゆっくりと、
昆布は酒を振りかけてビニール袋に入れ、10分程暖めて柔らかくした。
(実はホットカーペーットの上の猫ベットに突っ込んだ^^)

シモコシは他の料理に使った後の形の崩れたもの
欠けたカサとか、軸だけとか、そういう物でも貴重なので、全部使う♪
上 左は刻んだ昆布で、右は茹でた菊も加わえて全部の材料が揃ったところ。
混ぜ合わせて一晩おくと美味しい「しおから」のできあがり。
この「しおから」、昆布のねばりが少ないように感じても、
シモコシ(キダケ)の味を大切にしたいので、塩のきつい刻み昆布は入れない方が美味しい。
もしも刻み昆布を入れたかったら、さっと水か湯をかけて塩気を取ると良いかも。
ダケというと思い入れが強いのか、つい力が入ってしまうのでありました(^^)v





ダケのこと

キノコの中でもシモコシ(キダケ)を探すのは難しいと、よく耳にします。
が、私にとっては幼い頃から当たり前にあったキノコで、
「さあ、今日はみんなでキノコ採り」というと、目指すのはこのキンダケでした。

幼い頃、船で湖を渡り、父と母が浜で仕事をしている間に
姉妹三人で遊び半分に松林を探し歩いたのもこのキンダケです。
丁寧に探してよく見つけるのは上の姉♪
最初はキノコ探しだけれど、そのうち木登りをして遊び始めるのが二番目の姉^^
よでこ(末っ子)の私は、いつも姉たちにくっついて歩いて、
キノコが見つかると採らせて貰っていたような、
そんな懐かしい思い出があります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このキダケ、一頃は珍重されて、1s1万円という値がついた事もあったとか。
それが信じられなくて不思議でしたが、その頃は松林の入り口にキノコ採りの車が列を作ったそうな^^。
山が荒らされ、見つけられるキンダケは少なくなって、
このまま無くなってしまったら寂しいことだと思っていましたが、
この1・2年で落ち着いたのか、キダケが、また採れるようになったのは本当に嬉しいことです。





ページのトップへ        前に戻る       ホームへ